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scene 10 A-part|罪を打ち明け、想いを告げる夜

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父母が不在の夜。
夕食を終えた後、二人は無言のまま食器を片付けていた。気まずい沈黙が流れるが、片付けという理由で同じ空間にいるしかない。
翔真は食器を拭きながら、恥ずかしさと罪悪感で彩葉と顔を合わせるのがつらかった。けれど逃げ出すわけにもいかず、視線を落としたまま手を動かし続ける。
そのとき、不意にコップが手から滑り落ちた。
床に転がったそれを拾おうと、彩葉がしゃがみ込む。膝上丈のスカートだから、しゃがんだ瞬間に下着がちらりと覗いた。
一瞬、翔真の目がそこに吸い寄せられる。
すぐに逸らしたが、胸の奥で自己嫌悪が渦巻いた。

――見てはいけないのに。

彩葉もその視線に気づいて、心臓が跳ねた。
普段なら冗談めかして「見たでしょ」と笑って流すところだ。けれど昨夜のことがある今、それはただの翔真の視線ではなく、もっと強い意味を帯びて胸を揺さぶった。
コップを拾い上げて立ち上がり、翔真に渡そうとしたとき、ふいに指先が触れ合った。
その一瞬、彩葉の手が止まる。昨夜から続く動揺が、反射的にその動きを止めさせたのだ。
翔真はその硬直を「嫌悪の反応」と受け取ってしまった。
俯いたまま、低く声が漏れる。
「……やっぱりあんなことして、気持ち悪いと思ってるんだろ」

彩葉はすぐに首を振った。
「……気持ち悪いなんて、思ってないよ」

その声には確かな強さがあったが、かすかに震えてもいた。
言葉を探すように唇を噛み、続ける。
「……私だって、人のこと言えないもん……」

自分でも息を呑むような告白だった。言った瞬間、心臓が跳ね、頬に熱が広がっていく。
視線を逸らし、手のひらをぎゅっと閉じて小さな拳をつくった。

「え……?」

翔真は思わず顔を上げた。
そこにいたのは、赤くなった頬を伏せる彩葉の姿だった。
けれど次の瞬間、彩葉はかすかに首を振って笑った。
「……ごめん。うまく言えないけど、嫌とかそういうのじゃないの」

誤魔化すような彩葉の笑顔を確かめるように、翔真の低い声が漏れた。
「……本当に、嫌じゃなかったの?」

彩葉は一瞬だけ息を呑む。
「正直……お気に入りの下着だったから、汚されたのはちょっと嫌だった」

けれどすぐに首を振った。視線を落としながら、素直に打ち明ける。
「でも……その……アレをしてたのは、嫌とかじゃないし、気持ち悪いとも思ってないよ」

それは取り繕いでも慰めでもなく、抑えきれずにこぼれた本音だった。
続けて、唇が震えながらも告げる。
「むしろ……翔くんに女性として見られてるって思うと……嬉しかった…」

その告白に、翔真の胸は驚きと安堵で大きく揺さぶられた。喉が詰まり、どうしようもなく心臓が高鳴る。
「……俺、……前から……いろは姉が好きなんだ」

隠そうとしても隠しきれない告白が、絞り出すように口をついて出た。
彩葉は頬を赤らめ、視線を逸らそうとして逸らせない。
胸の奥に押し込めていた気持ちがあふれ出し、ついに唇から零れた。
「…………私もだよ」

scene 10 B-part

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