scene 20 A-part|背徳を越えて
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リビングの空気は、ほんの少し前まで張りつめていた。
けれど姉が「逃げない」と決意した瞬間から、その緊張はゆっくりと解けていった。
姉はソファに押し倒されたまま、弟の瞳をまっすぐに見つめ返す。
もう迷いはなかった。胸の奥で膨らんでいた罪悪感も、世間への恐れも、すべて振り切った晴れやかな顔。
その瞳に映る決意を見たとき、弟の中にあった怒りや寂しさが、少しずつ溶かされていくのを自分でも感じた。
数日前からの姉の態度――冷たい言葉、避けるような素振り。
それは弟を不幸にしたくないという想いからであり、姉としての立場を守ろうとする必死の抵抗だった。
だが吹っ切れた今、姉は「弟」ではなく「大好きな人」として彼を再び見つめていた。
思わずこぼれた照れ笑い。
それを見た瞬間、弟の表情にも自然な笑みが戻っていく。
――弟が欲しい。
突き放していた数日間、押し殺してきた女としての衝動が一気に溢れ出した。
姉は自分から身を寄せ、迷いのない強さで唇を重ねる。舌を絡め取るほど深く。
驚きに目を見開いた弟の背中に、姉の両腕が回る。
その積極性は、これまで見せたことのないものだった。
唇を離し、震える声で告げる。
「……本当に……好き。大好き」
胸がいっぱいになり、弟は言葉を返せない。ただ抱きしめる腕に力を込める。
愛されている、その確信だけで体が熱くなる。
だが姉は不意に小悪魔めいた笑顔を浮かべ、囁いた。
「……ねえ、さっきの続き……」
そう言って右手を伸ばし、萎えかけていた弟のペニスを優しくしごき始める。
「……っ……」
驚きの声が漏れる。だが快感に逆らえず、息が震えた。
姉は硬さを確かめながら手を動かし、それでも完全には勃ちきらないのを見て、迷わず顔を寄せる。
温かな口内が弟を包み込んだ瞬間、背筋が痺れるような快感が駆け抜けた。
「くっ……あ、あぁ……っ」
甘い音を立てながら奉仕を続け、完全に勃起を取り戻したのを確かめると、姉は唇を離す。
視線を絡めながら、自らのニットを脱ぎ、ピンク色のブラジャーを外した。
豊かな胸が顕になり、そのまま左右の胸で弟の昂ぶりを挟み込む。
小悪魔のように微笑みながら、挑発する声が落ちる。
「……こういうの、好きなんでしょ……?」
清楚で優しい姉のイメージ。その落差に弟は頭が真っ白になる。
谷間に押し包まれ、上下に擦られる衝撃。あまりの快感に息が乱れ、先端から我慢の雫が艶やかに胸元を濡らしていく。
「……っ、も……だめっ……!」
体が大きく震え、白濁が迸る。姉の形の良い胸を汚しながら溢れ出し、滴り落ちていった。
その淫靡な光景を自らの目で見て、姉は悟る。
――わたしは、もう完全に「女」としてこの人を求めている。
弟は肩で荒く息をしながら、余韻に浸っていた。
「……ね、姉さん……今の……」
言葉にならない驚きが、視線ににじむ。
姉は艶やかに微笑み、告白するように言った。
「今まで付き合ってた彼氏が……みんなこれやって欲しいってたから……。だから……もしかしたら好きなんじゃないかなって思って。喜んでほしかったし……」
一瞬、過去の影に胸を刺されるような不安と嫉妬が弟をかすめた。
だが今こうして、自分を見つめ、微笑んでくれる姉がいる。
――姉が求めているのは、紛れもなくこの自分だ。
姉はさらに囁く。
「気持ちよかった?」
胸元を白濁で汚したまま、姉が微笑む。その表情はこれまでの姉のどれとも違って見え、弟の心臓を強く打たせた。
思わず、口から本音が漏れる。
「……すごく、エロい……」
自分でも顔が熱くなるほど率直な言葉。
けれど姉は咎めるどころか、ふっと柔らかく笑った。
「……よかった」
だが、その笑顔は一瞬で翳りを帯びる。視線が揺れ、不安が滲む。
「……ほんとに、わたしでいいの?」
問いかけは小さく、震えていた。
その一言に込められた迷いを悟った弟は、すぐさま首を振る。
「いろは姉じゃなきゃ、だめなんだ」
強く、迷いなく告げられた言葉。
その瞬間、姉の瞳から大粒の涙が零れた。
「……よかった……ほんとに、嬉しい……」
感情のままに弟の胸へと飛び込み、体を埋めるように抱きしめる。
だが胸元に残っていた精液が、抱きついたことで弟の肌にもべっとりと付着してしまった。
「あっ……ごめん」
姉は笑いながら謝り、近くのティッシュを取って弟の胸を拭ってやる。その仕草に二人の間に再び柔らかな笑みが広がった。
それからは、ほんの少しだけ他愛もない会話が続いた。くだらないことに笑い、自然に触れ合う。
そんな中で弟が何気なく尋ねた。
「……明日って、予定あるの?」
姉は一瞬、正直に「ないよ」と答えそうになった。
だが、ふと悪戯心に駆られる。
「……大学時代の先輩が強引に買い物付き合ってほしいって言われて……。だから明日は朝から出ないといけなくて……」
直接「男の先輩」とは言わなかった。けれど匂わせるには十分だったと思う。
「……そっか」
弟の表情が、わずかに陰る。失望と寂しさが混じった顔。
その「先輩」がなぜ姉に買い物を付き合って欲しいと言ったのか、別の理由があるんじゃないかと考えて不安になった。
だがそれを隠すように、すぐに笑顔を作り「オッケー」と言葉を添える。
その無理をした様子に、姉は思わずくすくすと笑ってしまう。
「嘘だよ、ごめんね。ほんとは明日予定なんて入ってないよ」
「……っ、からかったのかよ!」
一瞬でからかわれたことに気づき、ふざけた怒り顔を浮かべる弟。
その弟の反応が可愛くて、姉はさらに笑顔を深める。体を寄せ、耳元に唇を寄せると――
「だから……いっぱいエッチなことできるね」
小悪魔的に囁いた。
「……えっ!」
弟の思考が一瞬で止まる。清楚で、どこか儚さすら漂わせていた姉が、そんなことを言うなんて。
心臓が喉まで跳ね上がるような衝撃に、ただ言葉を繰り返すしかなかった。
「い、いっぱいエッチなこと……って……」
姉はその様子を愛おしそうに眺め、微笑む。
「……大好きだよ」
そっと告白を添えて、軽く唇を重ねた。
弟は頭の中が整理できず、ただ呆然とする。
そんな様子を察した姉が、現実に戻すように言葉を投げた。
「……ねえ、夕飯まだだったね。準備しよ」
そう言って立ち上がり、床に脱ぎ散らかしたブラジャーを身につけ、先ほど弟に乱暴に脱がされたショーツを履き直し、ニットとスカートを整えていく。
身支度を整えながら振り返り、弟へと声をかけた。
「ほら、服着て。手伝って」
「う、うん……」
慌ててズボンを履き、服を整える弟。
けれど頭の中では、さっきの「いっぱいエッチなことできる」という言葉が何度も反芻され、どうしても離れなかった。
scene 20 B-part
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